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T町を活性化させる、廃校有効活用のエピソード
廃校になった小学校が生まれ変わる
―地域住民が集い賑わう「まち」の中心部としての役割へ―
「思い出深い学び舎を有効活用したい」という思い
県内T町より、廃校になった小学校の有効活用について相談がありました。
日本じゅうで少子高齢化により小学校が統廃合を余儀なくされることが起こっています。やむを得ないとはいえ、地域住民にとって思い出深い学び舎を廃校にすることは受け入れ難く、苦渋の選択であったようです。
こういった経緯を知り、廃校の有効活用の要望を受け入れることになりました。
旧小学校の概要
地理的条件
私鉄ローカル線の駅より徒歩10分程度の距離に位置
建物の構成
- 校舎棟1棟(耐震改修済)
- 体育館(耐震改修未)
- 運動場
今回のミッションのポイント
T町はプロポーザル方式でアイデアを公募しました。条件は下記のとおりです。
- 地元の雇用につながる提案が出来るか
- 地域住民にとって安心・安全に配慮した施設
- 町にとって必要不可欠な施設
地元の要望や期待に見合った有効活用提案ができるかが最大のポイントとなります。そこで私たちは、高齢者介護福祉施設としての再利用を考えました。
問題点
ところが、サンコウ設計の調査で問題が発覚しました。旧小学校の校舎棟が、耐震改修を完了したにも関わらず建築基準法の検査済証がないことが判明したのです。これでは、旧校舎を介護福祉施設に改造することは可能であっても、その前に検査済証に代わる処置が必要となります。そこでT町に、「今回の再利用有効活用に、校舎棟を含めては提案できない」旨の質疑を返しました。
結果、事業提案を1期・2期とに分けた提案でも良いということになりました。
サンコウ設計の提案
中和地区を中心に包括地域医療サービスを提供する社会医療法人に打診し、その社会医療法人を主体とした高齢者介護福祉施設を中心として有効活用していくことを提案しました。
結果…
町の選考に採択され、県の特別養護老人ホームの整備枠に内定し、第1期として運動場に特別養護老人ホーム50床+ショート10床・デイサービスを設置することになりました。
その後、総合病院が事業主体になると聞いた地元住民により、「町内には高齢者が多くいるが、病院が近くにない。病院を併設してほしい」との声をいただき、診療所を第2期で併設することになりました。
今後は、地域住民が集い、地域交流できるスペースにしていくための空間づくりを構想しています。この町の主人公はもちろん地元の皆さんになります。これからも、地元の方たちのご要望に耳を傾け、この場所が賑わいある「まち」の中心としての役割へと進化していくよう、努めていきたいと思っています。